おやすみ
総士がベッドに横になってしまったので、一騎が部屋灯りを消した時だった。
「あ!」
という叫びに慌てて灯りを点け直した。
どうしたと聞く前に総士はついさっき横になったばかりのベッドから跳ね起きていて
一騎が駆けつけるころにはパソコンの前に向かっていた。
「一つ忘れていた!今晩中だ!」
動揺しきった様子に、どうせ仕事の一環だと推測するものの、慌ててシャツ一枚の総士の背に
制服の上着を掛けてやった。
「今晩中って・・・・・・もう三時だぞ?」
コトの後に跳ね起きれるなんて、自分が上手かったのか、総士が慣れてタフになったのか。
「朝一の会議に間に合えば何だっていい!!」
血の気が引いた総士の顔色に、よっぽど大事なものをポカしたんだなぁ・・・・と朧気に思うしかなく、
そのまま背後から総士を見守る。
よくもまぁメモも無く、真っ白な画面を前に次々と文章を打っていけるなぁ・・・・・・と思いつつ、
やっぱり慣れなのかなぁ・・・・・・と思いつつ、ソファーに座り静かに控えていた。
三時が四時になり、四時が四時半になり、焦る総士を見ているのは物珍しいものの、なんとなくこちらも
不安になってくる。
耐え切れず込み上げた欠伸の後で、軽く聞いた。
「あとどれくらいなんだ?」
返事の代わりに一時間経つ。
総士には悪いけれど、何度も何度も舟を漕いだ。
頬杖から顎が外れて何度か首を痛める寸前だった。
五時を大分過ぎたころ・・・・・・
「終った!!」
総士の声に薄目を開けた。
総士語で、朝一は大体時くらいのことだから総士的には余裕で間に合った・・・・・・という状況確認をし、
総士がパソコンの電源を切るのを確認してから膝に力を入れてソファーから立ち上がる。
「お疲れ」
独り言のようにつぶやいて、椅子から立ち上がったばかりの総士に抱きつく。
眠くて眠くてたまらなくて、でも総士が仄かに温かくて、いいにおいがする気がした。
「寝よう?」
総士を抱きしめる。そしてそのままベッドに総士を巻き込んで倒れこむ。
掛け布団を掛けたら一気に気持ちよくなってしまって。
あっという間に眠ってしまった。
END